【少年マンガ】右見ても左見ても戦、ずっと戦「キングダム」２６巻～２９巻まで

中華の主要六国が手を組み合従軍（がっしょうぐん）となって秦を攻めてきた。

六国のなかで、斉（せい）という国だけは合従軍から離脱させることに成功したが、それでも五カ国を相手に戦をしないといけない。大ピンチです。

どこの国も領土争いをして牽制し合って、争いが絶えない時代に各国の権力者を説き伏せ、国を超えて軍を立ち上げてしまうなんてありえない。

でも実際合従軍ってあったらしいからさらに驚き。
それだけ秦が脅威だったんでしょうかね。

決戦の地は歴史上一度も抜かれたことがない、王都を護る城砦・函谷関（かんこくかん）。
その砦の両側の山を越えて裏に回られないため函谷関一帯がドでかい戦場になる。

あっちでもこっちでも戦、戦、戦。
武将同士の知恵比べ、力のぶつかり合いが大迫力で描かれています。

信は初日に趙の将軍・万極（まんごく）という武将を討ち大きな手柄をあげる。

この万極とその軍は秦国に並々ならぬ怨念を持っていた。
彼らは昔、秦の将軍が長平（ちょうへい）という土地で投降した趙の兵士四十万を、生き埋めにしたという悪夢のような出来事の遺族、遺児たちだったのです。

その恨みを秦人全員に向け、女子供、老人に至るまで手にかけてきた万極。

切ないですね。何が悪いって戦争が悪いんだけど、それを引き起こしているのも人間だし、でも無抵抗の人間に手を出すのも絶対にいけないことで、いやそもそもお互いを傷つけあい血を流すことが違うと思うし、この時代は自分の身を守るためには武器をとるしかないのだろうけど…

政は中華をひとつにまとめることで国境がなくなり戦争もなくなると考えるけど、戦争をなくしたいから戦争して国を統一するって矛盾してる気が…

戦国のご時世、平和的解決が無理なのは分かりますが、やっぱりおかしいと思いました。

これ言ったら話し進まなくなりますね。
それが戦国時代なんですから。

うーん。私の頭では限界です。
戦争をなくすって人が生きていく上で最も重要なテーマのひとつなんだろうなぁ。

長く続く対合従軍戦を読んでいて色々考えさせられましたよ。

元野盗で凶悪な男だったが、機転が利き戦に強いため将軍となった桓騎（かんき）の戦い方が見事でした。

四百ほどの隊を小さく分けて自分は八十騎を引き連れ、魏と韓の連合軍十五万のなかを敵軍に紛れて渡っていき、韓の総大将で合従軍五大将の一人・成恢（せいかい）を追いつめたのです。

首を取ったのは同行していた秦将・張唐（ちょうとう）でしたが。

十五万の軍勢に怯む部下に桓騎は“全部上手くいく”と一言。
残虐で汚い手も平気で使う桓騎ですが、十五万の軍にたった八十騎連れて飛び込んだ度胸と戦術がすごかった。

２９巻はほぼ信以外の武将たちの戦いでした。
秦の猛将・蒙武（もうぶ）と楚の総大将・汗明（かんめい）の大戦では武の力で蒙武が勝利した。

合従軍でも大きな役割を担っていた大国、楚軍の総大将討ち死にで歓声に沸く秦だったが、楚の第二の女将軍・媧燐（かりん）が秦軍の裏をかき山を越え、函谷関の裏側に到着していた。

あちらこちらで戦局が二転三転するので一番上で指揮をとる人間には相当の知力がいるんだなと改めて思いました。

現代みたいに上空から全体図を見ることも出来ないし、電話みたいな通信手段もないのに、頭ひとつで状況を察知し何手先までも考えるなんてホント、人間業じゃないよ。